土葬のお墓の取扱い

【閲覧注意】土葬のお話は、気持ち悪くなる方がおられるかもしれませんので、お読みになる前に十分ご注意下さい。

地方に行くと、つい最近まで土葬(火葬場でご遺体を焼かずに、大きな木桶や甕「かめ」に入れて埋める)であったお墓があります。このようなお墓を撤去や移転、建て替えをする場合、お骨はどのように取り扱うのでしょうか?

お骨はどのような状態で埋まっているのか?

まず、お骨が残っているかどうかですが、埋葬の仕方で少し違うようです。木桶などでは早くにご遺体が腐敗するので、数十年で肉部分は無くなっています。しかし、焼いていないお骨は結構残っており、特に大腿骨などの太い部分はきれいな形で存在しています。

一方、甕に入っている場合は蓋をして密閉しているときがあり、この場合はバクテリアの侵入が妨げられているため、肉部分が腐敗せずに液体状に溶けています。ですので、甕から出すときに赤色を含んだ肌色の液体が出てきます。骨や髪の毛は甕の底にこびりついてますが、50年以上経っていてもきれいな色や形をしています。腐敗していませんから、稀に筋肉や内臓が硬質化して一部残っている場合もあるそうです。

実際の掘り出し作業の注意点

さて、実際に作業となれば1.5m以上は土を掘り出す必要がありますし、木桶の場合は腐敗してますから臭いもきついものがあります。甕の場合は、クレーンや三又など吊り道具を必要とし、職人も心身的にかなり大変な作業になります。また、地中の土は地震や地下水の影響で動いており、ご遺体自体が移動して、墓石の真下に無い場合もあります。さらに隣の墓石と間隔が無い場合は、隣の基礎が傾く危険性もあります。

古いお墓と同じ場所に新しいお墓を建立する場合は、お骨を掘り出す必要もないのですが、移転したり、墓じまいをする場合はどうしたらよいのでしょう?

先ほど述べたように土葬のお骨を取り出すには費用もかかり、隣の墓石に迷惑をかけるリスクもあります。ご先祖様には申し訳ないのですが、土に還っていただいたという意味で、墓石下の土のみ少し採取し、骨壺かさらし袋に入れて、次の納骨場所に納めるというのが良いと思われます。撤去後の墓地は管理者に返還されますが、最近のお墓の納骨室(カロート)は30㎝ほどしか掘らないと思いますので、埋まっているお骨が出てくることは無いと思います。